第144号
1年が過ぎるのが本当にあっという間で、もう年の瀬。今年は感染症爆発という感じの1年でした。
思えば、2020年突然の非常事態宣言、学校閉鎖で、大人も子供も家に閉じ困るような生活を余儀なくされた時、本当に感染症は何も流行らず、ひま~な小児科外来でした。人々が外へ出るようになり、徐々にいろいろな疾患が流行するようになりましたが、今年は一気に多種類の感染症が大流行!人類はウイルスや細菌から逃れることはできないのだから、極端なことはせず適当に免疫をつけていくしかないのだ、と思い知らされた気がします。
来年はもう少し落ち着くといいですね。そして、何よりも戦争のない平和な世界が訪れますように!
よいお年をお迎えください。
食物アレルギー
食物アレルギーは、ある特定の食べ物を食べたり触れたりした後に、蕁麻疹や皮膚のかゆみ、咳、嘔吐、下痢、意識障害などを引き起こす現象です。原因食物は人によって様々です。
一昔前は、食物アレルギーがあると完全除去を指導されることが多かったのですが、近年では、「必要最小限の原因食物の除去」「原因食物でも症状が出なければ“食べられる範囲”までは食べることが可能」という考え方になってきています。
乳児期に湿疹がひどいと食べ物が原因ではないかと思われるかもしれませんが、必ずしも食物アレルギーがあるとは限りません。最近は、湿疹で荒れた皮膚から食物の刺激が侵入して、本来無害であるはずの食物に対して体内で過剰な免疫反応が起こり、食物アレルギーを発症しやすくなるともいわれています。
湿疹がひどいお子さんには、まずステロイドや保湿剤で皮膚の状態改善を目指します。離乳食開始を遅らせる必要はなく、何も食べないうちからアレルギー検査をすることはお勧めしません。初めて食べる食品は、できるだけ湿疹が落ち着いている時に、充分加熱した物をごく少量から開始してみてください。
乳児期にアレルギー反応を起こしやすい食品としては、卵・牛乳・小麦で約90%を占めます。しかし、これらは年齢と共に摂取しても症状が出なくなる(寛解)率が高い食品です。ある程度以上のアレルギー症状が出た子には、血液でのIgE抗体測定を行っています。ただし、このIgE検査が陽性であっても、症状が出ない場合があり、この検査だけで摂取可能か否かを判断することはできません。
時期をみて原因食品の摂取再開について相談したりしていますが、アナフィラキシーに近い強い症状が出たお子さんには専門医を紹介し、適切な時期での経口負荷試験をお勧めしています。
なお、妊娠中や授乳中の母親の食物除去による赤ちゃんの食物アレルギー発症予防効果は否定的であり、推奨されていません。
1歳を過ぎると、原因食物として魚卵(ほとんどがイクラ)、ナッツ類が増え、4歳以降、果物や甲殻類などが増えてきます。これらはなかなか寛解することが難しく除去を続けるケースが多いようですが、専門医のもとで経口負荷試験をしながら、摂取できるようにする取組みも行われています。
花粉―食物アレルギー症候群(PFAS)
最近、果物を食べると口腔内がかゆくなったり、ピリピリした違和感が出る子が増えているようです。もともと花粉症があり、感作された花粉と似た抗原刺激を有する果物や野菜等の摂取によってアレルギー症状が起きます。症状がほぼ口腔内に現局していること、加熱したジャムなどは食べても症状が出ないなどの特徴があり、花粉―食物アレルギー症候群と言われます。
基本的に除去になりますが、加熱したり、缶詰などは大丈夫なことが多いので、うまく付き合っていきましょう。
感染症流行状況
11月から引き続きインフルエンザA型が流行しており、学級閉鎖や学年閉鎖が相次いでいます。次いで、アデノウイルスが多い状況です。溶連菌・手足口病は減少傾向ですが散見されます。コロナは11月末にはほとんど出ていません。(いろいろな感染症が一気に流行したため、各種検査キットが全国的に不足しています。検査ができない場合もありますが、ご了承ください。)
今月の一冊
「イルカ の イルカ
は
かるい の かるい」
作:Ac-bu
イルカはかるい かるいはイルカ
うまもまう だるまもまるだ
よいカワウソ そうわかいよー
前から読んでも後ろから読んでも同じ、不思議な回文の絵本です。イルカくんの可愛さと軽快なストーリーを一緒に楽しめます。(T.K.)
今月の予定&お知らせ
12月 14日(木) 常総市1歳6カ月児健診
★平日17:00~インフルエンザ及びコロナワクチン接種のため、一般外来は17:00で受付終了とさせていただきます。
★発熱で受診される方へ
発熱者は隔離室での診察を行っています。午前11時台、午後16:00、16:15に予約の上、来院前に電話連絡をお願いします。