第154号
秋の気配を感じるこの頃。週末にはあちこちの園や学校で運動会が開かれているようですね。メダルをかけて診察室に入ってくる子もいて微笑ましいです。
暑い間、なかなか外で遊ぶことができなかったと思います。これからの季節、戸外の遊びを思い切り楽しんでください!
喘息の季節です
長かった夏が終わりの気配をみせ、朝晩涼しさを感じるようになったこの頃、喘息症状が出るお子さんが増えてきました。喘息とは、過剰な免疫反応によって気道の炎症が起き、気管支の内腔が腫れて呼吸の通り道が狭くなってヒューヒュー、ゼーゼーと呼吸が苦しくなる病気です。ダニやハウスダスト、煙草や花火等の煙、風邪や感染症、気象条件等々、きっかけは様々です。日中と朝晩の寒暖差が大きい時、台風や寒冷前線が通過する時など、気道が過敏になっている喘息の患者さんでは発作が誘発されやすくなります。
喘息の発作を繰り返すと、気管支の壁が厚く硬くなり(リモデリング)、ますます内腔が狭くなってしまいゼーゼーしやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。そうならないように、発作時の治療と共に、発作を予防する治療が大切になってきます。
発作時は、狭くなった気道を広げる気管支拡張薬の吸入を行い、必要に応じて気管支拡張剤を投与します。呼吸困難が改善しない場合は、繰り返し吸入したり、炎症を抑えるためのステロイド全身投与(内服や点滴)を短期間行います。
発作を繰り返す場合は、発作を起こさないように吸入ステロイド薬やロイコトリエン受容体拮抗薬といわれる薬をある程度長期間投与します。小さいお子さんでは自分で吸入するタイプは難しいので、吸入器を購入してもらっていますが、ステロイド吸入を継続することによって発作頻度はぐっと減りますので、親子で一緒に頑張ってくださいね。
肺炎球菌ワクチンについて
肺炎球菌には100種類近くの型があり、そのうち13個の血清型に対応したワクチンが長年使用されてきました。今年4月から新たに15個の血清型に対応したワクチンが始まりましたが、10月からは20個の型に対応したワクチンが開始されます。これから接種開始する赤ちゃんや、以前13価のワクチンのみ接種している子の追加接種には20価のワクチンを使用します。
これまでの肺炎球菌ワクチンでも、ヒブワクチンと共に接種が開始されて以降、小児の細菌性髄膜炎をはじめとする命にかかわるような重症感染症は激減しました。本当にこれらワクチンには小児科医として感謝! たまにワクチンを打たないご家庭がありますが、お子さんの命を守るため是非接種してほしいと思います。
まだギリギリ間に合うHPVワクチン
1997年4月2日~2008年4月1日生まれの女性に対する子宮頸がん予防ワクチン(HPV)キャッチアップ接種は来年3月末で終了します。また、現在高校1年生の定期接種も来年3月末で終了します。この期間を過ぎてからの接種は公費助成が出ません。
標準的な接種方法は初回・2カ月後・6カ月後の合計3回ですが、この間隔で接種できない場合、初回と2回目の間隔は最低1カ月、2回目と3回目は最低3ヶ月以上あけて接種することが可能です。
11月中旬までに初回接種を開始していただければ何とか3月までに終わります。まだの方はご検討ください。
感染症流行状況
今月も、突出して流行しているものはありませんが、いろいろな感染症がみられています。マイコプラズマ、コロナ、インフルエンザ、溶連菌、手足口病など。マイコプラズマが少し増えてきているようです。でも、あまり検査をする必要を感じない、いわゆる風邪で熱が出ているお子さんが一番多い感じです。
今月の一冊
「まほうの絵本屋さん」
小手毬るい・作
高橋克也・絵
すみれちゃんの友達が引越して寂しい時に、ふくろうの声に導かれていくと、そこは森の中の絵本屋さん。くろねこの店員さんが選んでくれた絵本の中には、夢見た世界が広がっていました…。
幻想的で不思議な世界に迷い込むような絵本です。 (T.K.)
今月の予定&お知らせ
10月 3日(木) つくばみらい市1歳6か月児健診
10日(木) 常総市3歳児健診・幼保園健診
24日(木) 守谷市3歳児健診・保育園健診
31日(木) 黒内小就学児健診
*インフルエンザワクチン接種のため、10月7日から一般診療は17:00終了とさせていただきます
*10月から先発医薬品のいくつかが「選定療養費」として、薬局での窓口負担を求められるようになります。先発品を希望した場合、丸福を使っているお子さんでも自己負担金が発生する医薬品(ヒルドイド、タミフル等)がありますのでご注意ください。