第156号
ついこの間「あけましておめでとう」だったような気がしますが、もう師走。歳を重ねると本当に1年が短い…。でも、子供たちは日々色々なことができるようになり、この1年で、また一段と成長したことでしょう。
楽しいクリスマスとよいお年を!
健診で指摘され気になるところ
乳幼児健診を受けると身体測定や運動・言葉の発達以外にもちょっとした異常を指摘されることがあるかと思います。代表的なところをいくつか。
発育性股関節形成不全
少し前までは「先天性股関節脱臼」と言われていましたが、出生時に脱臼している例はわずかです。生後1カ月までは臼蓋形成不全や軽度の亜脱臼で、いわゆる「脱臼準備状態」にある赤ちゃんが、足を伸ばしたまま固定するような抱っこ方法や向き癖等、後天的な要因によって脱臼へと進展していくことが知られるようになり、最近は「発育性股関節形成不全」と呼ばれるようになりました。
健診で「足の開きがかたい」と言われ整形外科受診を勧められることがあるかと思いますが、それだけでは見落とされる場合も。女児、骨盤位分娩、家族や親戚に股関節の悪い人がいる、向き癖がある等はリスク因子なので、健診の時お伝えいただけると参考になります。
そして、これは予防が可能な疾患です。オムツや衣服で下肢が伸展したまま固定されないようにする、抱っこするときは親御さんと向き合う正面向きで足を開いたコアラちゃん抱っこにする、寝るときは足が自由に動けるようにするなど、日頃から気をつけましょう。
停留精巣・遊走(移動性)精巣
陰嚢の中に精巣が降りていない状態です。精巣が腹腔内にとどまったままだと、精巣機能が低下したり、将来の腫瘍発生リスクが上がったりするため、停留精巣の場合は1歳前後での手術が勧められています。
温まった時や触診で精巣を触知して陰嚢内に降ろせるものは遊走精巣といい、しばらく経過観察で大丈夫ですが、中には手術が必要になる場合もあり、時をみて小児外科に紹介しています。
包茎
赤ちゃんは多くが包茎であり、経過観察が基本です。むりに剥こうとする必要はありません。亀頭包皮炎といっておちんちんの先が赤く腫れるのを繰り返す子、おしっこの出方が細く変な方へ飛んでいく子、1-2歳過ぎでもツルツルの包皮で穴がほとんどわからないような場合にはステロイド軟膏を塗って包皮を少し伸ばすような治療をしています。小学生になっても包茎の場合は小児外科へ紹介しています。
異所性蒙古斑
臀部以外の場所にできる蒙古斑です。多くは小学生くらいまでに消えますが、濃いものや辺縁がはっきりしているものは残る可能性があります。目立つ場所にある場合は、レーザー治療という選択肢があります。レーザー治療をするなら日焼けをしていない乳児期から始める方がよいようです。
インフルエンザ流行の兆し
11月末からインフルエンザA型の患者さんがちらほら出始めました。潜伏期は1~3日程度で、突然の高熱、頭痛、関節痛などで発症し、眼がなんとなく赤くウルウルして、倦怠感が強いのが特徴です。うわごとを言ったり、わけの分からない行動をすることもあります。以前、タミフル服用後の異常行動が問題になったこともありましたが、服用前でもそのような状態はみられます。熱性けいれんも起きやすく、まれですが脳炎等の合併症もあります。
インフルエンザは自然に治る疾患なので、抗インフルエンザ薬は必ずしも必要ではありませんが、高熱でぐったりしている状態で受診された場合は、タミフル等を処方していることが多いです。
発症後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで出席停止となっています。
感染症流行状況
マイコプラズマ感染が続いていますが、一時期よりは減ってきているようです。11月末からインフルエンザA型や胃腸炎(ノロウイルス?)の患者さんが出てきました。ご注意ください。
今月の一冊
「クリスマスみ~つけた!」
おかじま ちはる・作
ふたごのクリスとマリーは、町へお買い物に出かけます。クリスマス・イブに友だちをまねいてパーティーをするために、かざりや食べ物を準備するのですが…。クリスマスマーケットにずらりと並んだリースやおもちゃ… 眺めるだけでワクワクするクリスマスのさがしえ絵本です。 (T.K.)
今月の予定&お知らせ
12月19日(木) 守谷市3歳児健診
12月29日(日)~1月5日(日) 年末年始休診
1月17日(金) 予防接種13:00~14:00 午後の一般診療なし
*12月末までインフルエンザワクチン接種のため、一般診療は17:00で終了とさせていただきます。
*麻疹風疹ワクチンは供給不足が続いているため、ネット予約を中止しています。電話でご相談ください。