第159号
木々のつぼみも膨らみ花も咲き始めました。3月は卒園卒業の季節。お子さん達の成長した姿を実感できる季節でもありますね。
医療とは関係ない話になりますが、私は学生時代、オーケストラや室内楽でフルートを吹いていました。医者になってからは忙しく、子供ができてからは寝た子を起こすような音は出せず、で遠ざかってしまいましたが、最近は時々コンサートを聴きにいったりしています。先日、NHK交響楽団のベートーヴェン交響曲第7番(昔のドラマ、のだめカンタービレでよく使われていた曲)を聴きましたが、すごく熱くて魂のこもった演奏でした。ハンサムなドイツ人指揮者は踊っているようなエネルギッシュな指揮振り、ビオラのお兄さんは束ねた髪を振り乱しての熱演。クラシック音楽というと、お堅いイメージかもしれませんが、最近は親子で楽しむ演奏会などもあります。皆さんにもいろいろな音楽に触れていただけるとうれしいです。
こどもの便秘
便秘とは、「便が腸内に滞った、または便が出にくい状態」を言います。2-3日に1回の排便でも、便が硬くならずに苦痛なく排便できていれば治療は必要ありませんが、毎日出ていてもウサギの糞のように硬いコロコロ便しか出ない、何分もいきんでやっと排便しているようだと便秘症の可能性があります。離乳食開始頃、2~3歳頃のトイレットトレーニング期、通学が始まる小学校入学頃は、便秘になりやすい時期です。
ひどい便秘になると、直腸に大きな硬い便がたまって肛門をふさいでいるような状態になります。まずはこの便塞栓を浣腸などで取り除いてあげることが必要です。硬いウンチをして痛かった経験や、トイレを強要された経験がつみ重なると、ウンチ→嫌→排便を我慢する→ますます便が硬くなるという悪循環に陥ってしまいます。
規則正しくバランスの取れた食事を摂る、食後は少しゆっくりできる時間をとってトイレに行って排便する習慣をつけるといった生活習慣の改善が大切です。そのうえで、便を軟らかくし、排便を促すような薬物療法を併用していきます。よく使う薬剤は酸化マグネシウムと2歳以上ならポリエチレングリコール製剤のモビコールです。モビコールは、粉末を規定の水分で溶かして飲む薬で、腸の中に入ると高い浸透圧効果によって、腸内の水分を保持することで、硬くない、ボリュームある便が作られウンチがスムーズに出るようになります。飲めれば、結構効果があります。
悪循環に陥る前に「便秘かな?」と思ったらご相談ください。
ヒトメタニューモウイルス感染症
春節前の中国で「謎の肺炎が流行している」と一時騒がれましたが、その多くはヒトメタニューモウイルス(hMPV)によるものだったようです。実は以前から存在する風邪症状を引き起こすウイルスで、2001年に発見され、数年前から抗原検査キットも使われています。当院でも最近、数人hMPV感染症のお子さんが出ていますが、今の所、それほど増える気配はありません。
飛沫や接触感染でうつり、4~6日の潜伏期の後、発熱・咳・鼻汁の症状が出て、ひどくなるとゼーゼーとした呼吸で苦しそうになります。発熱は5~7日続くことが多く、咳もひどく「インフルエンザとRSが合体したような症状」と私はよく説明しています。根本的な治療薬はなく、対症療法になります。
抗原検査の保険適用は、「6歳未満で画像診断により肺炎が疑われる」場合に限られていますので、それなりに重症感のあるお子さんにしか検査は行っていません。
花粉症これから本番
2月はまだそれほど花粉が飛んでいなかったのか、例年より花粉症のお子さんが少なかったようですが、この週末の気温上昇で一気に花粉が飛散しそうですね。症状に応じてアレルギー症状を抑える飲み薬、点鼻薬や点眼薬等処方しています。また、近年では、スギとダニに対する舌下免疫療法が5歳以上の子どもにもできるようになりました。
アレルゲンを少量ずつ投与することで、体を慣らし、アレルギー症状を和らげようというものです。3~5年治療を継続することにより、その後も長期にわたり症状をおさえ、体質改善が期待される治療法です。検討している方はご相談ください。
感染症流行状況
インフルエンザやコロナは、だいぶ下火になりました。嘔吐下痢の胃腸炎が多くみられます。
今月の一冊
「どこへ行ったの? いちごちゃん」
作/絵 のし さやか
畑からケーキ屋さんにやってきた、かごいっぱいのいちごたち。でも大変‼ いちごちゃんがいなくなっちゃった。キッチンの中で「いちごちゃん」をみんなで探そう!たくさんのくだものが登場し、食べ物の楽しさ満載の絵本です。 (T.K.)
今月の予定&お知らせ
3月 6日(木) 守谷市3歳児健診
13日(木) 常総市1歳6カ月児健診