第161号
新緑のまぶしい季節となりました。しかし最近気になる、ふれあい道路のイチョウの木々。思いっきり剪定され、電信柱に葉っぱがくっついているよう。2-3年後にはきっと元気な立派な木になると信じましょう。ともあれ、さわやかな風が気持ちのいいこの頃。公園などで元気に遊んでくださいね!
百日咳・そして三種混合ワクチン
今年になって、全国的に百日咳の報告が増えています。当院でも、小・中学生の子達が「1か月位咳が止まらない。夜も咳込んでいる」と言って来院し、何人か百日咳と診断しています。
百日咳は百日咳菌という細菌がのどなどについて感染し、赤ちゃんから大人までどの年齢でもかかります。始めは咳鼻水といった風邪症状ですが、次第に発作的に激しい咳が続くようになります。典型的にはスタッカートのようなコンコンコンコン…とした咳が続き、息継ぎすることもできずに顔が真っ赤になり、咳の最後に「フー」と息を吸い込むような状態になります。夜間咳で眠れなかったり、咳込んで吐いたりすることもあります。乳児期早期にかかると、典型的な咳がないまま、無呼吸発作からチアノーゼやけいれん、呼吸停止に至ることもあります。
当院では百日咳のPCR検査を行っていませんので、激しい咳が2-3週間以上続いているような子には採血をして抗体価を測定し診断しています。かなり疑わしい子には診断前に治療している場合もあります。治療は抗菌薬投与ですが、最近耐性菌が増加し問題になっています。今の所、治療したお子さん達は基本的なマクロライド系と言われる抗菌薬で症状が軽減しているようなのですが、今後要注意かと思っています。
百日咳予防には、ワクチン接種がかかせません。ほとんどのお子さんは三種混合・四種混合・五種混合ワクチンのいずれかを接種し、これらの中には百日咳が含まれています。しかし、現在の混合ワクチンで百日咳予防効果は5~10年程度と言われており、乳児期3回と、翌年の追加接種1回では充分ではありません。
自費になってしまいますが、小学校入学前に三種混合(百日咳・ジフテリア・破傷風)での追加接種をお勧めします。さらに、11~13歳で接種する二種混合(ジフテリア・破傷風)を三種混合に変更して接種することも小児科学会で勧めています。(二種混合は定期接種なので無料ですが、三種混合は任意接種になり自費です。) 大きい子が三種混合を接種すると、接種部位の腫脹が強くなる傾向がありますが、数日で改善しますので、是非ご検討下さい。
麻疹にご注意!
麻疹も今年になって報告が増え、4月以降守谷近辺でも発症者が相次いでいます。現在の所、接触歴のある人、大人の発症者が多く、子供の発症はわずかです。麻疹は空気感染し、インフルエンザやコロナよりも感染力は強く、ワクチンをしていなければ、あっという間に子供たちにも広がっているはず。
感染した場合、潜伏期10日前後で発熱・咳・鼻汁・眼脂などの症状が出始め、次第に熱も高く咳鼻水がひどくなり、3-4日すると発疹が出て、口の中にもコプリック斑と言われる白い小さい発疹が出ます。そこからさらに3-4日高熱が続き、普通に経過しても重症です。肺炎・中耳炎・脳炎等の合併症が多く、数年経ってから亜急性硬化性全脳炎という予後不良な難病を発症することもあります。
予防はワクチンです。高齢者の多くは昔子供の頃に罹って免疫があり、現在1歳以上の子供達もほとんどが麻疹風疹(MR)ワクチンを接種して免疫を獲得しています。実は30-40歳代の人達は、麻疹ワクチンを1回しか接種していない人が多く、麻疹抗体価が低い可能性があります。本当はこの年代の人達にもワクチン接種を勧めたいのですが、先月も書きましたが、現在MRワクチンの入手が困難です。まずは1歳になった子達の定期接種を最優先にさせてください。当面の間、大人の接種は当院ではできません。
*クリニック入口に、麻疹患者さんが不特定多数の人と接触した可能性のある施設・時間帯を記入した紙を貼ってあります。そこを訪れて発熱や風邪症状、発疹が出た人は入室せずに、保健所または当院へ電話で相談してください。
感染症流行状況
4月下旬から一部地域でインフルエンザB型が流行し、少しずつ広がっています。ゴールデンウィークで学校が休みの間におさまってくれればよいのですが…。溶連菌感染症や伝染性紅斑(リンゴ病)も、増加傾向です。
今月の一冊
「メロンパンツ」
作・絵 しぶや こうき
カエルのケロンが散歩していると、メロンパンが落ちていた‼全部ひとりで食べたかったケロンは「ひとくちちょうだい」というともだちに「これはパンツでーす!」とウソをついて独りじめしようとするけれど…。ユーモアたっぷりの絵本です。 (T.K.)
今月の予定&お知らせ
5月 1・15・29日(木) 黒内小内科健診