第162号
ただ今、芦田愛菜ちゃんの「博士ちゃん超大作SP」を観ながら書いております。以前からこの番組、「この子達のエネルギーってすごい!」と感動しながら観ていました。実は私、世界遺産博士ちゃんに感化されて、コロナ禍でクリニックが超ヒマになった時期に世界遺産検定の勉強なんぞして、なんとか1級まで取りました。もう大部分忘れてしまったけれど…。今日はスペインを訪れた愛菜ちゃんがテンション高くて本当に楽しそうです。私もいつかサグラダファミリアに行ってみたい!
妊娠中のワクチンで赤ちゃんの感染予防
妊娠中は、お母さんの免疫グロブリンが胎盤を介してお腹の中の赤ちゃんに移行します。特に妊娠末期に急激に増加する分画があります。妊娠中にワクチンを接種することで、母体の免疫グロブリンが増加し、胎盤を介して赤ちゃんに移行することで、出生後の新生児・乳児の感染リスクを低下させることができます。ただし、麻疹や風疹といった生ワクチンは妊婦さんには接種できません。
RSウイルス感染予防に
RSウイルスは毎年流行し、生後6カ月未満の新生児・乳児がかかると呼吸状態が悪化して重症化しやすく、入院を要することも多い感染症です。昨年から、妊婦さんが接種することで赤ちゃんのRSウイルス発症を6ヶ月程度予防するワクチン(アブリスボ筋注用)が日本でも導入されました。妊娠24週(28週以降推奨)~36週に接種することで、生後90日以内の重症なRSウイルス感染症発症を約80%、180日以内では約70%抑えると報告されています。それ以降ではお母さんからの移行抗体が消失していくので、有効性は認められていませんが、重症化しやすい生まれたばかりの赤ちゃんを守るためには有効な手段です。自費で3~5万円と高額ですが、ご希望の方は産科の先生に相談、あるいは産科の先生から接種許可を得たうえで当院でもご相談ください。
百日咳予防に
今年は数年ぶりに百日咳が流行しています。生後2カ月から接種できる三種・四種・五種混合ワクチンの中には百日咳が含まれていますが、生後2カ月未満の赤ちゃんには接種できず、一方で生後間もない時期に百日咳にかかると肺炎や無呼吸になって命にかかわる場合があります。
海外ではジフテリアと百日咳の抗原量を減らした成人用三種混合ワクチンがあり、妊娠中の接種が推奨されています。お母さん自身が百日咳に罹らないようにするためと、移行抗体により生後間もない赤ちゃんが罹らないようにするためです。日本では成人用の三種混合ワクチンが認可されていないので、小児に打っているものと同じ三種混合ワクチンを使用します。妊娠後期に接種することを最近、日本産婦人科学会でも勧めるようになりました。
しかしながら、小児でも就学前等に三種混合を接種する人が増えたのと妊婦さんで接種する人も出てきたのが相まって、もともとそれほど多くは生産されていなかった三種混合ワクチンなので在庫不足となり、現在、入手困難です。当院ではすみませんが小児に限らせていただき、小児もすぐには接種できずお待ちいただいている状況です。ご了承下さい。
夏休みにお勧め ~スギ舌下免疫療法・夜尿症治療開始~
スギによる花粉症症状がひどかったお子さんには、舌下免疫療法をお勧めしています。去年から始めたお子さんの多くは、「今年の花粉症症状はかなり軽かった」とのことで、効果を実感しています。アレルゲンを少量ずつ投与することで、体を慣らし、アレルギー症状を和らげようというもので、3~5年治療を継続することにより、その後も長期にわたり症状をおさえ、体質改善が期待される治療法です。スギ花粉が飛んでいる時期には治療開始できないので、おさまった今からの時期がお勧めです。
夜尿症も暖かい夏場からの治療がお勧め。寒いとトイレが近くなりますし、アラーム療法などを開始するには冬場は夜中起きるのがつらくなります。小学校に上がったけれど毎日のように夜尿があるようなお子さんは、今の時期にご相談下さい。
感染症流行状況
胃腸炎、溶連菌感染症、伝染性紅斑(リンゴ病)等、それなりの数の患者さんは出ていますが、爆発的な流行ではありません。小学校高学年~中学生で咳が長引いている子の中には百日咳が散見されます。近隣で小流行していた麻疹は、5月中旬以降、報告はあがっておらず一段落した模様です。
今月の一冊
「ながいながい おうさまのはなのはなし」
作・絵 しまだ かほ
ゾウの国の王様の鼻は、ながーくて先がどうなっているのか誰も知りません。もちろん王様本人も‼ じいやは、王様に鼻の長さをはかることを頼まれ、ゾウの町を超え、谷を越え、森を超えても王様の鼻の先は見えてこず…⁉ 細かいところまで楽しい仕掛けがいっぱいの絵本です。 (T.K.)
今月の予定&お知らせ
6月 26日(木) つくばみらい市1歳6か月児健診