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第102号

[2020.06.01]

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 ようやく緊急事態宣言が解除され、学校や幼稚園も再開できることになりました。しかし、コロナが消失したわけではなく、人々の往来が盛んになればまた各地で流行することでしょう。これからは全国一斉の対応ではなく、地域ごとに流行の兆しが見えたら早めに対処するようにしつつ、少しずつ以前のような日常生活を取り戻していきたいですね。

 当院は2007年6月1日に開院しました。開院当初は1歳未満児の予防接種と言えばBCG・経口の生ポリオワクチン・三種混合程度でしたが、現在はヒブ・肺炎球菌・B型肝炎・ロタも加わり複数のワクチン接種が当たり前になりました。

また、働くお母さんが増え、保育園に通う子供達が多くなったことも変化を感じていることです。お子様達の健康について気軽に相談できるクリニックとして、微力ながら地域の皆さまのお役に立てればと思います。

川崎病について

川崎病とは、1967年に川崎富作先生により初めて報告された、乳幼児期に多い、発熱を伴って全身の血管炎が起きる「原因不明の」病気です。決してまれな病気ではなく、日本国内で2018年には17,000人あまりの子供達がかかっています。

 症状として(1)発熱 (2)眼球結膜の充血 (3)くちびるや舌、口の中の発赤 (4)発疹 (5)手足末端の変化(急性期は赤く腫れ、回復期に指先から皮が剥ける)(6)頚部のリンパ節腫脹 があり、このうち5つ以上の症状が認められると川崎病と診断されます。

 川崎病にかかって一番問題なのは、心臓を栄養する血管である冠動脈に瘤(こぶ)を形成することです。川崎病に罹った子の3%位に瘤ができると言われています。一過性で元に戻ることが多いですが、瘤ができたままになると、将来的に血管が狭くなったり、血栓ができたりして狭心症や心筋梗塞を発症する危険が高くなります。

 炎症を早く抑えて冠動脈瘤を作りにくくするため、川崎病と診断されると、免疫グロブリンといわれる血液製剤の一種を点滴で投与し、血液を固まりにくくするアスピリンという薬を内服します。これで多くの場合、熱が下がり他の症状も消失していきますが、追加の治療が必要になる場合もあります。

最近、欧米から「新型コロナウイルスにかかって川崎病に似た症状を起こす子供が増加している」と報告されています。皆さんもニュースなどで耳にしたことがあるかもしれませんね。

川崎病は「原因不明」ではありますが、様々なウイルスや細菌の感染をきっかけに、それを防ごうとする免疫反応が起こり、全身の中小の血管に炎症が生じるのではないかと考えられています。川崎病罹患者がとても多い年があったり、季節性・地域性があることなどからも感染との関連が示唆されています。ですから、そのきっかけの一つとして新型コロナウイルスも可能性がないわけではありません。

 ただし、日本では現在「川崎病が増えている」という報告はありません。川崎病自体は感染症とは別の疾患ですから、冷静に対応しましょう。

 小さい子のマスク

最近はマスクをつけないと外出できない風潮ですが、日本小児科医会では「2歳未満の子どもにマスクは不要、むしろ危険!」というメッセージを出しています。

 マスクは飛沫をまき散らさない(つまり、人に感染させない)効果は期待できますが、飛沫を吸い込まないようにする効果は限定的です。小さい子ではマスクを気にして顔を触る機会がかえって増える、これから暑くなる季節にはマスク内が蒸れて呼吸が苦しくなったり、熱中症になりやすかったりと危険の方が大きいと考えられます。2歳以上でも小さい子にマスクをつける時は、その必要性と危険性をよく考えてから必要な場合のみ着用しましょう。

感染症流行状況

5月も休園・休校措置と外出自粛の効果で、種々の感染症にかかる機会が減り、皆さん元気に過ごされていたようです。(検査も最小限にしています)

感染症

人数(人)

溶連菌

4

アデノウイルス

0

RSウイルス

0

マイコプラズマ

0

(2020.4.27~5.30)

 

今月の一冊

「じゃない!

作:チョーヒカル

ようこそ「じゃない!」の世界へ。きゅうり…じゃない! みかん…じゃない! 固定概念をくつがえす不思議な食べ物の数々。見た目や思い込みにとらわれずに自由に想像してみると楽しめると思います。(T.K.)

今月の予定

  6月 12日(金) 守谷市1歳6か月児健診 

  18日(木) 常総市3~5か月児健診

 

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