第164号
暑い毎日が続いています。北海道で35℃以上の日が続いたり、兵庫で41.2℃という国内最高気温が観測されたり、本当に地球沸騰の時代ですね。涼しい場所や時間帯を探して、元気に楽しく夏を乗り切ってください!
夏休みにHPVワクチンを
最近、お母さん方から、「子宮頸がんワクチンの問診票が届いたのですが、やった方がいいんですか?」とよく聞かれます。はい、接種した方がいいですよ!
子宮頸がんの多くは子宮頚部でのヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染が原因です。HPVは、主として性交渉により感染し、子宮頸がんをはじめ、中咽頭がん・肛門がん・外陰部がん等の原因となります。感染しても大半は自然に排除されますが、感染が持続すると細胞が変化し、数年以上かけてがんへと進展していきます。
現在日本では、年間11,000人前後の女性が子宮頸がんと診断され、約3,000人が子宮頸がんにより死亡しています。HPVワクチンは2009年に認可され、2013年に定期接種となりましたが、接種後に起きたさまざまな症状が問題となり、「積極的な接種勧奨をしない」時期が長く続きました。しかし、「接種後に起きたさまざまな症状は、HPVワクチンに限ったものではなく、他の痛み刺激やストレスなどでも起きることのある機能的な身体症状である」と現在では考えられています。ワクチンの成分で体や脳に器質的な変化が起きたわけではありません。
外国ではこれら多彩な症状が“ワクチンの副作用”として問題になることはなく、接種が勧められてきました。その結果、各国から前がん病変や子宮頸がんの発症が大幅に低下したことが報告されています。
現在使われている「シルガード9」という9価のHPVワクチンでは、子宮頸がんを起こしやすいハイリスク型HPVの大部分がカバーされており、子宮頸がん発症予防効果は90%程度と言われています。定期予防接種は小学校6年~高校1の女子が対象です。15歳未満で接種開始した場合は2回接種ですみます(15歳以上は3回)。まず1回目をこの夏休みに!
また、HPVワクチンは、米国・スウェーデン・ブラジル等、世界81カ国で男女ともに定期接種として公費で接種が勧められています。HPVは中咽頭がんや肛門がん、陰茎がん等の原因にもなるので、これらのがんから男性自身の体を守るため、またパートナーへのHPV感染リスクを低下させる効果もあります。日本でも男子へのHPVワクチン接種に公費助成を始めた自治体があり、県内でも水戸や土浦、竜ケ崎等で始まりました。現在男子に使用できるのは4価のワクチンのみです。この近辺ではまだ助成をしている自治体はないので3回で5万円前後の自費接種になりますが、ご希望の方はご相談ください。今後は男性への定期接種も検討されていくと思われますが、未定です。
熱中症にご注意!
人間は汗をかくことで体温調節をしていますが、子どもは体温調節機能が十分に発達していないため、暑さを感じてから汗をかくまでに時間がかかり体温が上昇しやすくなります。また、体の水分の割合が大人より高いため外気温の影響を受けやすく、身長が低いため地面からの照り返しの影響も大きく受けます。
子どもは自分では熱中症予防ができません。こまめな水分補給、日陰や室内での休憩、適切なクーラー使用、ベビーカーの適切な使用、短時間でも車内に放置しない等、周囲の大人が注意しましょう。
感染症流行状況
溶連菌感染症、マイコプラズマ、百日咳などが一定数出ています。7月末からコロナが数人出ていますが、熱がすぐ下がっている場合には検査していないことが多いので、実際にはもう少し多いのかもしれません。夏の定番、ヘルパンギーナ・手足口病は、昨年結構流行したせいか、今年の夏はあまり見かけません。
今月の一冊
「ねこおうじ と うみのいきもの」
さく:KOKORI 監修:サンシャイン水族館
平和なネコ王国に暮らすねこおうじ。ねこおうじが眠りから目覚めると、そこは海の上!クジラ・アザラシ・ラッコ…海の生き物たちと触れ合いながら最後にたどり着く先は…?
好奇心いっぱいのねこおうじの大冒険を一緒に楽しんだ後は、48の海の生き物の名前が学べます。 (T.K.)
今月の予定&お知らせ
8月 7日(木) 常総市1歳6カ月児健診
10日(日)~17日(日) 夏季休診
21日(木) 守谷市3歳児健診
22日(金) 会議のため16:30診療受付終了
30日(土) 会議のため11:00診療受付終了
★8月20日~9月初旬まで、クリニックの屋根修繕工事や内装工事を行います。足場が組まれ、工事車両が停まっていたりしますので、受診時には足元や頭上に気をつけて、お子さんが足場に触れぬようご注意ください。