第157号
あけましておめでとうございます。災害や紛争が絶えないここ数年ですが、希望を持って、皆様にとって新しい年が良い年でありますようにと祈念しております。
昨年驚かされたのは、子供たちがやたら医学用語に詳しくなったこと。「ナチュラルキラー細胞はね…」とか「それはサイトカインストームってやつですか?」とか話しかけられてびっくり!自分が医学生だった頃よく知らなかったようなことを、今や幼稚園や小学生の子が私に教えてくれます。『働く細胞』すごすぎ!というわけで、本棚に少し加えました。
少子化の時代
2024年に国内で生まれた日本人の数は、70万人を下回ると推定されています。日頃、クリニックで診療していると3人兄弟姉妹は結構多く、時には5、6人兄弟のご家庭も。少子化という実感はあまりなかったのですが、守谷市や茨城県の人口動態を見て愕然としました。守谷市は2010年の出生数712人をピークに減少に転じ、2022年の出生数514人。2023年はついに500人を下回りました。茨城県全体では、出生数2010年23,989人が2022年16,402人と、干支が一巡する間に実に出生数3割減です。
少子化対策として、国や自治体は様々な手を打ち出していますが、少子化はとどまるところを知らず進行しています。社会構造の変化、そして多様性が尊重される時代。様々な家庭像、人生観があるのだから、「産めよ、増やせよ」はもう通じません。人口は減るものとして、これからの政策を立ててもらわないとなりませんね。
でも、せめて若い人達が家庭を持ち子供を育てていくことに夢をもてるような世の中であってほしい、そのためには子供時代を幸せに過ごせる社会、若者でも経済的に安心して暮らせる社会になってほしいと思うこの頃です。
水ぼうそうと帯状疱疹
水ぼうそう(水痘)と帯状疱疹は同じウイルスが原因で、初めて感染した時になるのが水ぼうそうです。一度かかったら二度とかかることなく、終生免疫ができます。しかし、水ぼうそうが治った後にこのウイルスは脊髄の神経節に一生ひそみ続け、体の免疫力が落ちてきたときなどに、今度は帯状疱疹として発症するわけです。
水痘は、空気感染するので、免疫がない人が同じ部屋にいると高率にうつります。最近は水痘ワクチンが定期接種化され、水ぼうそうに罹る子は随分少なくなりました。とはいえ、水痘ワクチンの効果は2回接種していても100%とは言えず、時々水痘のお子さんを診ます。多いのは、ご家族等の大人が帯状疱疹になり、そこから子どもが水痘を発症してくるパターンです。帯状疱疹は一般的に空気感染しませんが、発疹の水疱液からの接触により、水痘に免疫がない人に水痘を発症させます。
ワクチンを打っていると症状は軽く、典型的な水疱にならず、虫に刺されたかなぁ位の赤いプツプツが出て、1-2日したら数が増え、なんか変だぞという感じで受診される事が多いです。気付かずに幼稚園や学校に行ってしまうこともあり、たまにクラスで何人か続けて水痘患者さんが出ることもあります。数日すると、中心部がかさぶたになった発疹となり、全ての発疹が痂皮化したら登園登校はOKです。
我が家の長男は、まだワクチンを打てる年齢にならない生後9か月頃水痘に罹り、当時はまだ抗ウイルス薬も認可されていなかったので、高熱が続き、発疹もすごくてかわいそうでした。皆さん、100%の発症予防はできないけれど、軽症化にはかなり寄与していますので、水痘ワクチン接種もお忘れなく!
そして、高齢者には今年4月から帯状疱疹用のワクチンが65歳を対象に定期接種となります。高額なのでなかなか接種が進まなかったワクチンですが、帯状疱疹も罹るとかなりつらい症状になる人が多いようですから、対象の方には勧めてみてください。
感染症流行状況
インフルエンザA型が大流行中です。12月は各地で学級閉鎖が相次ぎました。新学期が始まるとまた広がりそうですのでご注意ください。(先月号のインフルエンザ記事もご参考に!)
今月の一冊
「へびくんのおさんぽ」
いとう ひろし/作・絵
雨上がり、おさんぽに出かけたへびくん。大きな水たまりを渡る前に、アリやカタツムリ…とへびくんの背中を渡っていきます。心優しいへびくんの動きや表情がおもしろい絵本です。 (T.K.)
今月の予定&お知らせ
1月 17日(金) 予防接種13:00~14:00 *午後一般診療は休診
23日(木) 常総市1歳6カ月児健診
24日(金) 守谷市1歳6カ月児健診*14~15時の院内での予防接種なし
29日(水) 講演会のため17:00診療終了
30日(木) 守谷市3歳児健診
★MRワクチンは供給不足が続いているため、ネット予約を中止しています。電話でご相談ください。