第125号
新緑が美しい季節になりました。かなり昔になりますが、つくばから筑波山の脇をぐるりと回り、現在の桜川市の病院まで通っていたことがありました。山々の緑、時に山桜のうすピンク色も混じり、日々変わる里山の風景に感動したのを、この季節になると思い出します。
気候もよくなってきました。自然の中でいろいろ体験してくださいね!
アデノウイルス感染症
ヨーロッパやアメリカで小児の原因不明の急性肝炎症例が相次いで報告され、4月30日現在日本でも3例の疑い症例が報告されています。ニュース等で「アデノウイルスが原因か?」と報道され、不安になっている方も多いかと思います。
肝移植が必要になるほど重症化したり死亡したりすることもある、この急性肝炎の詳細はまだ調査中ですが、欧米で報告があった169例中74例でアデノウイルス、20例で新型コロナウイルスが確認されているとのことです。
下痢・嘔吐といった胃腸炎を起こした後に、皮膚や白眼が黄色くなる黄疸が現れた場合は要注意です。
アデノウイルスには、50種類以上の型があり、型によって様々な症状が出ます。
扁桃炎:主に3型7型の感染によって起こり、急に高熱が出て、4-6日程度熱が続きます。しばしば扁桃に白色の膿が付着しますが、高熱の割に多くの子は比較的元気です。通常の小児科外来で喉を検査して「アデノウイルスですね」と言っているのは、ほとんどがこのタイプです。
咽頭結膜熱(プール熱):扁桃炎の一部の小児で、眼が充血する結膜炎を合併し、これを咽頭結膜熱といいます。プールだけではなく、飛沫・接触感染でうつります。
気管支炎・肺炎:3,7,14型等の感染により気管支炎・肺炎が起きることがあります。
流行性角結膜炎(はやり目):8,19,37,53,54,56型等の感染によります。眼結膜が赤くなり、まぶたの裏にブツブツができて眼脂や涙が増えます。咽頭結膜熱のような高熱が出ることはあまりありません。
出血性膀胱炎:主として11型感染により、排尿時痛と真っ赤な血尿が出ます。
胃腸炎:主として31,40,41型感染により、腹痛・嘔吐・下痢といった胃腸炎症状を起こします。
いずれも特効薬はなく、対症療法を行いながら自然に治るのを待つしかありません。
今回の急性肝炎ではアデノウイルス41型の関与が疑われていますが、これまで基礎疾患のない子がアデノウイルスでこのような肝炎を起こすことは経験されていませんでした。本当にアデノウイルスが原因なのか、コロナウイルスの関与があるのかどうか、この2年余りで生活が変わった影響があるのか等はまだはっきりとわかっていません。早期に原因が究明され、肝炎に罹る子がこれ以上増えないよう願うばかりです。
扁桃炎を起こすタイプの型とは違うので、高熱が続いて喉の検査で「アデノウイルス」と診断されても、肝炎を心配する必要はまずありません。
ワクチン予約について
日本脳炎やHPV(子宮頸がん)ワクチンなど、これまで控えられていた接種通知が4月から再開されたことに伴い、お問い合わせが増えています。日本脳炎については、まだ出荷制限が続いており、入荷した本数分のみ、お待ちいただいている人に順次予約のご連絡をしている状況です。HPVやおたふくワクチンについても予約集中を避けるため、現在これら3つのワクチンはネットでの予約を中止しています。お電話でご相談ください。
感染症流行状況
2月3月に比べるとコロナウイルス感染のお子さんは半減しましたが、なかなかなくなりません。保育園などで手足口病が流行しているところがあります。
今月の一冊
「たんぽぽのちいさいたねこちゃん」
さく:なかや みわ
たねこちゃんは、たんぽぽの綿毛の子。兄弟たちが風に乗って旅立ってしまったのに、たねこちゃんは自信がなくて行動できません。ある日突然旅立つことになり冒険が始まります。無事に花を咲かせることができるでしょうか?小さくてたよりないたねこちゃんが成長していくさまが丁寧に描かれている絵本です。(T.K.)
今月の予定
5月 12日(木) 守谷市3歳5カ月児健診
19・24・26日 黒内小内科健診
★コロナワクチン接種のため一般診療の受付時間が変更になります。
(火)(水)(金) 17:00受付終了
5月14日(土) 11:30受付終了
~発熱で受診される方へ~
午前11時台、午後16:00 16:15に予約の上、来院前にお電話でご連絡をお願いいたします。