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あけましておめでとうございます

　穏やかなお正月を楽しんでいた時に北陸での大地震、そして津波。世界に目を向ければいつ終わるのかわからない戦いがあちらこちらで。平和で穏やかな暮らしが今ほどありがたく感じることはありません。

   皆様のご多幸をお祈りいたします。

 

ヒトの脳と心の発達のためには・・・

　まずは、京都大学で長年霊長類の研究をされ、現在、ヒトとヒト以外の霊長類を胎児期から比較することにより、ヒト特有の脳と心のはたらきの発達を研究されている明和政子先生の講演から一部引用させていただきます。

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　ヒトは他者との「密・接触」を基本とする社会的環境に適応しながら進化してきた生物です。赤ちゃんは、抱かれたり、授乳されたり、撫でられたりすると、血液中の糖が上昇するとともに、オキシトシンなど神経活動を落ち着かせる神経伝達物質が放出され、「心地よい感覚」が高まります。こうした経験を積み重ねていくと、「ある特定の誰か（養育者）」の顔や声・匂い・肌触りといった感覚情報が、身体内部に生じる心地よさと関連づけられて記憶されていきます。

　ヒトを含む哺乳類動物が生存するためには、栄養を与えられるだけでなく、ある特定の誰かと身体を接触させる経験を集中的に得ることにより、社会的絆「愛着（アタッチメント）」を獲得していくことが不可欠です。乳幼児期に安定したアタッチメントが形成されるかどうかが、その後の脳と心に大きく影響します。

　また、脳の発達過程では、環境の影響を受けやすい限定された特別の時期「感受性期」というものがあります。視覚や聴覚は生後数カ月から小学校入学頃までに環境の影響を受けて大きく成熟します。

　この時期に乳幼児は相手の動く表情全体に触れ、自分の身体で真似ることによって、相手の顔を認識し、その人の感情を理解し、また言語を獲得していくのです。

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　コロナ禍で、他の人との交流・密を避け、マスクをする生活が長く続きました。脳が形成され終わった大人にはともかく、こどもの脳や心の発達には、好ましい状態ではなかったと思われます。また、昨今のネット環境やスマホの発展は目覚ましく、私などすでについていけなくなっている感がありますが、低年齢の乳幼児にはデジタルの仮想空間ではなく、現実でのヒトとの密な接触、五感を刺激する接触こそが必要不可欠なのだと講演を聴いて改めて思ったものでした。

　皆さんには、お子さんをいっぱい抱っこして顔を見ておしゃべりし、笑ったり泣いたり、現実世界での経験をいっぱいさせてあげてほしいと思います！

 

ウイルス性胃腸炎流行中！

　突然、嘔吐を繰り返して受診する子が増えています。ノロやその他のウイルス性胃腸炎と思われます。何回も吐いて一時的にぐったりしますが、多くは1日程度で嘔吐は落ち着き、その後下痢が始まることが多いですが、嘔吐だけで終わる場合もあります。

　吐き通しの時は、1－2時間経口摂取を控えて休ませ、その後少量ずつ経口補水液を与えてください。水分だけでなく塩分、糖分も必要です。経口補水液が飲めない場合は、水やお茶だけでなく、みそ汁の上澄みやスープなどで塩分補給も。嘔吐が落ち着き始めたら消化のよい食事を少しずつ開始しましょう。

　以前は冬になるとロタウイルスによる胃腸炎で脱水症状がひどくなり、入院する子が多数いましたが、ロタウイルスワクチンが導入されて以降、ほとんどロタの重症胃腸炎を見なくなりました。ワクチンの効果を実感しています。

 

感染症流行状況

　初秋から長期にわたりインフルエンザA型が流行しています。アデノウイルス、溶連菌、胃腸炎もかつてないほど多い状況が続いています。12月末にはインフルエンザB型、コロナウイルスも散見され、年が明けても様々な感染症の流行が続きそうです。（各種検査キットが全国的に不足しており、新規入荷が困難な状況です。検査をするかどうかは医師の判断によりますので、ご理解下さい。）

 

今月の一冊

「やってみないとわからないでしょ」

作・絵：SHOGEN

　タンザニアのブンジュ村に住む、恥ずかしがり屋で人見知りのザイちゃん。何かやろうとするけれど「自分には絶対できない」と思いこんでしまいます。そんな時、友達のハスシィが「やってみないとわからないでしょ」といつも励まし勇気づけてくれます。新しいことを始めるときに背中を押してくれる素敵な絵本です。（T.K.）

 

今月の予定＆お知らせ

＊金曜日はコロナワクチン接種のため、一般外来は17:00で受付終了とさせていただきます。月・火・水は17:30受付終了。

＊発熱で受診される方は、受診前にお電話をお願いします。