第147号
早いものでもう３月。卒園や卒業の季節ですね。コロナでいろいろ制限された日常生活からも解放され、のびのびと園や学校生活を楽しめましたか？ 暖かくなるこれから、お散歩や戸外の遊び、親子で楽しんで下さいね！
４月からの予防接種変更
五種混合ワクチン
現在の四種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ)に、ヒブワクチンが加わった五種混合ワクチンが始まります。生後２カ月から１回に接種するワクチン本数が１本少なくて済むようになります。また、筋肉内注射が可能となりました。
対象は平成６年２月１日以降に出生した児です。
それ以前に生まれたお子さんは、これまで通りの四種混合＋ヒブワクチンで今後も接種を進めていきます。
肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌には93種類の血清型があり、現在小児に行われている肺炎球菌ワクチンは、細菌性髄膜炎などの重症感染症をおこしやすい13種類の血清型に対応しています。4月からはさらに2種類が加わった15価の肺炎球菌ワクチンに切り替わります。今までの13価を打っていた児も、4月からは原則として新しい15価のワクチンで接種します。
そもそも、なぜヒブや肺炎球菌ワクチンが必要？
ヒブ(インフルエンザ菌ｂ型)や肺炎球菌は、鼻や喉によくいる細菌ですが、その菌が血液に入り、さらに脳を包む髄膜に侵入すると髄膜炎になります。これらワクチンが導入される以前の日本では、１年間にヒブによる髄膜炎が約600人、肺炎球菌による髄膜炎が約200人発生していました。細菌性髄膜炎になると、数％が死亡、後遺症も30～40%に残ります。
ワクチンが定期予防接種に導入されて以降、ヒブや肺炎球菌の髄膜炎は激減しました。それだけ効果の高いワクチンです。
私がまだ病院勤務をしていた20数年前ですが、茨城県南地方で、数名の子が相次いで劇症型のヒブ髄膜炎に罹ったことがありました。発熱して外来に連れられて来た時にはすでに意識がなく、救急車で搬送中に心肺停止するような恐ろしい経験もしました。
市の乳幼児健診に行って母子手帳を見ると、たまに予防接種を何も受けていなかったり、途中でやめてしまっているご家庭をみかけます。ヒブや肺炎球菌髄膜炎の多くはワクチンで予防可能なので、是非全員に受けてほしいと思います。
溶連菌感染症
４年前コロナ感染対策として突然の休園休校、以後、子供がかかりやすいインフルエンザやRSウイルスが世の中からほとんど消失しましたが、溶連菌感染症だけは結構長い間みられていました。2021-2022年はかなり少なかったのですが、昨年秋頃からインフルエンザ等の流行と並行して溶連菌感染症も多くみられるようになりました。とはいえ、インフルエンザと違って、次から次へと移り学級閉鎖が起きるほどの感染力はありません。
A群溶血性連鎖球菌というのが正式名称の細菌が感染すると、急性咽頭炎の他、膿痂疹や蜂窩織炎、中耳炎、肺炎等多彩な疾患が起きますが、「溶連菌感染症」と言われている多くは急性咽頭炎です。
突然熱が出て、強い喉の痛みが起きます。熱が出ない場合もありますが、「つばを飲むのも痛い」と患者さんはよく言います。嘔吐を伴うこともしばしば、時に皮膚に細かい赤い砂をまいたような発疹が出てサメ肌状になることもあります。
喉を診て、ブツブツした感じの赤みが強い場合は、喉を綿棒で擦過して検査をしています。
溶連菌は自然に治ってしまう場合もありますが、後にリウマチ熱や急性糸球体腎炎を起こすことがあり、主にリウマチ熱予防のため、抗生剤を内服します。指示された期間はしっかり内服してください。
たまに抗生剤が合わず、飲み終わる頃になって変な発疹が出る場合があります。その場合は内服を中止して受診してください。また、2-3週間後に急性腎炎になることがあります。血尿が出ますが、赤というより、紅茶や麦茶のような褐色尿で、尿量も減り、顔がむくんできます。その頃は、尿の様子も気をつけておいてください。
感染症流行状況
１月下旬からインフルエンザB型が数年ぶりに流行しています。ピークは過ぎたようですが、まだインフルエンザもコロナも連日出ています。溶連菌や胃腸炎も流行中。
今月の一冊
「ピンク色のうさぎ」
作 たかお ゆうこ
白いうさぎの中に、１羽だけピンク色で生まれたうさぎのぴょん。自分と同じピンク色の仲間を探す旅に出るのですが見つからず、最後にたどり着いた場所は…。
自分らしく、そのままでいいんだと教えてくれる絵本です。（T.K.）
今月の予定＆お知らせ
3月 7日(木) 常総市1歳6カ月児健診
21日(木) 守谷市3歳5カ月児健診
＊3月から当院でのコロナワクチン接種はありません。
平日夕方は17:30受付終了。
