第114号
6月1日開院14年となりました。この間、子どもたちが受ける予防接種の種類は倍増し、ヒブや肺炎球菌による髄膜炎等重症感染が激減しました。ロタウイルスによる重症嘔吐下痢症もここ数年遭遇していません。新型コロナは予想外のことでしたが、感染予防策が徹底されることにより、種々の感染症が減りました。
一方、メディア利用の低年齢化、発達や心の問題がクローズアップされてきています。時代に即した小児医療を提供できるよう、これからも頑張っていきたいと思います。
開院以来、診察室にはエリック・カールさんのカレンダーを飾ってきましたが、先日訃報に接し残念な思いです。カレンダーに気づいた子供たちは絵本の内容を話してくれたり、本は知らなくても「ヘビ」「ねずみ」など指差ししたり。とても魅力的な絵でしたね。来年以降もきっとカレンダーは制作されるでしょうから、ずっと飾っていきたいと思います。
夜尿症について
小学校1年生でおねしょのある子はおよそ10%といわれています。年々減ってきている場合は経過をみればよいですが、入学後もほぼ毎日の場合はそろそろ治療を考えてみませんか?寒い冬よりも夏場の方が夜尿は減る傾向にあり、治療もしやすいようです。
夜尿症の原因には、1)夜間の尿量が多い 2)夜間膀胱に充分尿をためることができない 3)排尿筋過活動 4)夜中起こしても覚醒しにくい体質 5)発達の遅れ 6)遺伝的素因 7)便秘など様々な要因がからんでいます。
まずは、以下の生活改善を試しながら、手帳やカレンダーにおねしょをしなかった日にはご褒美シールを貼るなど、おうちでできることから始めてみましょう。外来では「おねしょ日誌」をお渡しし、シール貼りや夜間尿量の記録などをお願いしていますが、これだけでも1割の子が改善傾向になります。
<夜尿を減らすための生活改善のポイント>
・規則正しい生活 できれば夕食は寝る2時間前までに
・水分の取り方 朝昼はたっぷりと。夕食後から
就寝まではコップ1杯程度に。
・塩分を控える
・便秘を改善させる
・寝る前にトイレに行く
・夜中、無理にトイレに起こさない
これらを実践しても改善傾向がみられない場合は、尿を濃縮して夜間尿量を減らす薬物療法や、アラーム療法等を行っていますのでご相談ください。
RSウイルス感染症
以前は秋に流行することが多かったRSウイルス感染症ですが、最近は夏場から流行する傾向がありました。昨年は自粛生活のためRSウイルスに罹ったお子さんをほとんど診ませんでしたが、今年は1か月ほど前から全国でRS感染者が報告されており、ついにこの近辺でも5月末から保育園に通っているお子さんを中心に流行の兆しが…。
2歳までにほとんどの児が一度はRSウイルスに感染するといわれており、風邪程度の症状から細気管支炎・肺炎まで症状は様々です。一般的に乳児期早期にかかると重症化しやすく要注意です。
咳やくしゃみによる飛沫感染や、感染している人との直接の濃厚接触、ウイルスが付いた食器やおもちゃ等を介した間接的接触により感染します。
数日の潜伏期間を経て発熱・鼻汁などの症状が出始め、次第に咳がひどく、ゼーゼーと苦しそうな呼吸になってきます。哺乳力が低下し、呼吸困難が強くなった場合には入院することもあります。いつもの風邪にしては咳鼻水が日に日にひどくなってくるようなときには受診してください。
感染症流行状況
4月から保育園幼稚園に通いだした子が多いためか、咳鼻水、熱を繰り返すなどの症状で受診するお子さんが増えています。溶連菌が増加傾向ですが、原因がはっきりしない突然の高熱の子もちらほら。コロナ・インフルエンザ以外にも風邪のウイルスはいろいろあるということでしょうか。
感染症 |
人数(人) |
溶連菌 |
2 |
アデノウイルス |
0 |
RSウイルス |
5 |
インフルエンザ |
0 |
(2021.5.1~5.29)
今月の一冊
「にじをつくったのだあれ?」
作:ベティ・アン・シュワルツ
絵:ドナ・ターナー
文:鈴木ユリイカ
うさぎさんが「にじをつくったのだあれ?」、お母さんは「お友達に聞いてごらん」。虹を作った人を探しに出かけます。聞いて歩くたびに1本ずつきれいなリボンが現れます。最後には七色の虹に…。親子で色の世界を楽しめる、リボンで作られたしかけ絵本です。 (T.K.)
今月の予定
6月 3日(木) 黒内小内科健診
8日(火) 黒内小内科健診
10日(木) もりや幼保園内科健診
11日(金) 守谷市1歳6か月児健診
*(火)(水)の10:30~11:00は成人の新型コロナワクチン接種を行っています。一般診療は一時中断しますが、ご了承ください。